株主価値をつかった目標株価の計算方法を学ぶ!
「株式投資にはいろんな指標があるけど、結局どれを見たらよいかわからない!」
そんな方には「株主価値」を計算してみることをおススメめします!
「株主価値」を計算できれば、そこからその銘柄の割安性や、どのくらいの株価が適正なのか、が分かりますので、今までよりも安心して投資ができるのではないでしょうか?
今回はここまで学んだ財務状況などのデータを使っていっしょに「株主価値」を求めてみましょう!
より詳しい理論株価を求めることが出来るんです!
財務情報を活かして、目標株価を計算したい
株主価値ってなに?どういうもの?
目次
株主価値ってなに?
企業が将来どれだけのキャッシュフローを生み出すかを現在価値で評価したものを企業価値といいます。簡単に言うと、企業全体の価値のことです。
企業の生み出すキャッシュフローは、本業である事業で生み出されるものと、事業とはあまり関係の無い資産から生み出されるものの2つがあります。
したがって、企業価値は、事業の価値と、それ以外の資産の価値の合計だと言えます。
株主価値とは、この企業価値から負債を差し引き、株主に帰属する価値を求めたもののことです。
つまり計算式にすると以下の通りとなります。
まず、事業価値について、どのように計算するか見ていきましょう。
事業価値は、「純利益の15倍」もしくは「営業利益の10倍」で計算することができます。
事業価値とは、収益力の15倍と考えるのが一般的であり、純利益の15倍というのは「標準的なPERが15倍」と考えてもとめられた数字です。営業利益とは税金を差し引く前の本業の利益です。「純利益の15倍」と「営業利益の10倍」はだいたい同じくらいになるため、このどちらかを用いて計算します。
しかし、純利益は間に特別利益などが入ったりすることもあるので、「営業利益の10倍」で考える方がオススメです。この営業利益は会社が出している最新の営業利益予想をつかって計算しましょう。
※税引前当期純利益に対する税効果会計調整後の法人税等の額(法人税等と法人税等調整額との合計額)の割合
▼PERってなに?という方はコチラから
次に非事業資産についてです。非事業資産は、事業目的に使用されていない会社の資産のことです。
非事業資産に該当するのは「余剰現預金」「遊休・不稼働資産」「投融資」などの資産です。
これらの資産は事業価値には含まれていませんが、会社が保有する資産であるため、 会社所有者である株主に帰属する価値となります。したがって、株主価値を計算する際には、非事業用資産の価値を事業価値に加算する必要があります。
これらを追加して、より正確な計算式にすると以下の通りとなります。
非事業資産のうち「貸出金」「遊休不動産」はあまり大きくならないので
この2つは、無視しても問題はありません。
▼純利益や営業利益、少数株主利益などの違いはコチラから
損益計算書の6つの利益ってなに?見方と項目をわかりやすく解説!
今回は、損益計算書の基本的な見方について一緒に学んでいきましょう!
損益計算書をみると、それぞれの会社に “どんな”利益が“どのくらい”出ているのかを詳しく知ることが出来る…
株主価値が分かれば目標株価が分かる!
この株主価値と時価総額を比較することで、その会社の株価はどのくらいが適正なのかを判断することが出来ます。時価総額とは、株価×発行株数で計算できます。株価というのは市場の需給で決まるので、時価総額とは“市場でつけられる会社の価値”ともいえます。
それに対し、株主価値とは“理論的に見積もられる会社の価値”ということになります。
株主価値を計算して時価総額と比較したときに、株主価値の方が時価総額より大きいのであれば、その会社の時価総額…つまり株価は「理論的に考えればもっと高くてもおかしくない」数字であると分かります。このように考えることで、株価はどれくらいが妥当なのかを判断することができます。
実際に株主価値から目標株価を考えてみよう!
四季報と決算短信(貸借対照表)をみて株主価値を計算してみましょう!
▼会社四季報
▼「さくら不動産」2020年3月期第3四半期決算短信(貸借対照表)
どこで確認できるのかな?
事業価値
まずは事業価値を考えてみましょう。
事業価値は「会社が出している最新の営業利益」の10倍で求められます。
これは四季報をチェックすることで分かりますね!
▼四季報の業績欄の見方はコチラ
非事業資産
次に非事業資産です。こちらは貸借対照表をチェックしましょう。
非事業資産は、「現金」「預金」「有価証券」「貸出金」「遊休不動産」の合計で求めることが出来ますが、今回は「貸出金」「遊休不動産」は省略して考えましょう。
▼貸借対照表「資産の部」の見方はこちら
有利子負債
さいごに有利子負債ですが、これは四季報でも、貸借対照表でも確認できます。
四季報で確認する場合は財務箇所を確認しましょう。
貸借対照表から確認する場合は、負債の部の「短期借入金」「長期借入金」「社債」が有利子負債ですので、この3つを合計すればもとめられます。
▼四季報の財務欄の見方はコチラ
▼貸借対照表「負債の部」の見方はコチラ
目標株価は?
この「さくら不動産」の株主価値は575.3億円ということが計算できました。
では、この株主価値を、時価総額と比較するとどうでしょうか?
時価総額は四季報の財務欄に載っており、「さくら不動産」の場合は357億円です。
株主価値の方が、時価総額よりも1.6倍程度大きいですね。
つまり!この「さくら不動産」の時価総額は市場では357億円と見積もられているけれども、理論的に考えれば、この1.6倍くらいの値段の価値はあるのではないか?という考え方が出来ます。
そうなると、時価総額は株価×発行株数で求められるので、株価にも同じことが言えます。
それらを考慮すると、「さくら不動産」の現在の株価×1.6が、理論的に考えた時の株価の適正価格であり、目標株価となります。
まとめ
理論的に見積もった会社の価値が「株主価値」、市場で付けられる会社の価値が「時価総額」であり、
この2つを比較することで、その会社の目標株価を算出することが出来ます。
株主価値をもとめる計算式は覚えておきましょう!
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