キャッシュフロー計算書とは?見方とポイントをわかりやすく解説!
今回はキャッシュフロー計算書と、チェックすべきポイントについて分かりやすく解説します。
キャッシュフロー計算書が読めるようになると、「会社にどのくらいのお金の余裕があるのか」「会社がどのようにお金を使っているのか」などが分かるため、より多くの情報を得ることができます。
キャッシュフロー計算書とは、いわゆる「財務3表」と呼ばれる財務諸表の1つであり、会社の一定期間(3か月、6か月、9か月、1年)の現金の増減を表したものです。
会社の経営活動を「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分けて、それぞれどのようにお金を使ったのかを把握することが出来ます。
今回はキャッシュフローについて分かりやすく解説していきます!
財務諸表ってなんだか難しそう
キャッシュフロー計算書の読み方を知りたい
そもそも「キャッシュフロー計算書」ってなに?
目次
キャッシュフロー計算書ってなに?
キャッシュフロー計算書は、以下の3つから成り立っています。
✓会社の本業の営業活動によって増減した「営業活動によるキャッシュフロー」
✓余剰資金を運用した際や、設備投資をした際に増減した「投資活動によるキャッシュフロー」
✓借金の借入、返済、株の発行など資金調達により増減した「財務活動によるキャッシュフロー」
キャッシュフロー計算書を確認することで、それぞれの活動で、どのように現金を使ったのかという流れを把握することが出来ます。キャッシュフロー計算書は、貸借対照表や損益計算書とも深く関わり合っているため、それぞれ何をあらわしていて、どのように関わり合っているのかを理解しておけば、より分かりやすいかと思います。
この財務3表と、それぞれの関係性については、こちらの記事で分かりやすくまとめているので、まだ読んでいない方は是非お読みください!
営業キャッシュフロー=営業サイクルによる流れ
営業活動では、お金を使って、販売する商品の在庫を製造したり、提供するサービスを開発したりします。在庫やサービスが完成したら、それを販売します。そうして生まれた利益をまた、現金化して会社のお金を増やしていきます。この会社経営の根幹を担うサイクルを「営業サイクル」といいます。
営業キャッシュフローは、この営業サイクル内での現金の流れを表したもので、経営において1番大事だといえます。もちろんこの営業キャッシュフローは、プラスであるほうが良いです。
営業キャッシュフローがマイナスになっているということは、資金繰りが上手くいっていないということです。営業キャッシュフローの流れは棚卸資産と受取手形・売掛金で滞ることが多くなっています。
棚卸資産が滞る理由は2つ考えられます。
どちらの理由にしても資金繰りが悪化する原因となります。①のように販売増加に備えていたとしても、思ったように売り上げが伸びず、②のようになることも少なくありません。
受取手形・売掛金が滞る原因は、現金への回収があまり上手くいっていないことが考えられます。
あまり多いパターンではありませんが、決算短信などで、会社が売上の数字を、実際の売上よりもよく見せている場合があります。そんなときには、受取手形・売掛金を現金にしたくても、架空の数字なため、現金化できません。その結果、受取手形・売掛金が増え、滞ることとなります。
棚卸資産と受取手形・売掛金のどちらで滞っているとしても、どちらかが売上と比較して不自然に増加している場合は営業キャッシュフローになにかしらの問題が起きていることが考えられます。
投資キャッシュフロー=マイナスとなっても良いキャッシュフロー
投資活動とは、現金を使って固定資産を増やす活動のことをいいます。
固定資産とは、基本的には設備のことですが、企業買収なども投資活動とみなされます。貸借対照表上では、資産の部内で現金が減少して固定資産のどれかが増えることとなります。
もし、固定資産のどれかをリストラすれば、現金化…ということになります。
このような投資活動は、会社の業績アップのために行われます。将来の会社の業績アップを期待して、設備を整えたり、企業を買収したりするのです。そのため、株式投資の観点からすれば投資キャッシュフローはマイナスとなっていても問題ありません。
もちろんマイナスの数字の大きさにもよりますが、ある程度のマイナス(将来への投資)がなければ、業績アップが見込めないのも事実なのです。
財務キャッシュフロー=現金を調達する活動
ここまで営業活動や投資活動がどのようなものなのかを見てきましたが、2つに共通する点はどちらも「現金がなければ何も始まらない」ということです。
投資キャッシュフローはマイナスになる(赤字)のが普通なので、このマイナスを営業キャッシュフローのプラス(黒字)で補うのが理想的ですが、そうはいかないときもあります。
そんなときは、どこかから現金を調達するしかありません。そこで行われるのが財務活動です。
例えば銀行借り入れや増資などで、100億円の現金を調達した場合、
現金が+100億円 負債や資本金が+100億円となるので、現金の流れを表す財務キャッシュフローはプラスとなります。その調達した借入金を返却した場合には、現金が-100億円、負債も-100億円となるので財務キャッシュフローはマイナスとなります。
財務キャッシュフローがプラスなら資金調達をしている
財務キャッシュフローがマイナスなら資金を返済したり投資家への還元をおこなったりしている
と認識しておきましょう。
フリーキャッシュフロー=キャッシュフローを判断する基準
キャッシュフロー計算書でどういった数字がでれば、好調もしくは不調なのか?
これは個人の感覚にもよりますが、基本的には1番大事な営業キャッシュフローの数字をもとに判断すると良いでしょう。
その基準のポイントは3つです。
「①営業キャッシュフローが黒字かどうか」は非常に分かりやすいですね。
営業キャッシュフローは会社経営において最も大事なキャッシュフローといえますから、この数字がプラスになっているのかどうかは必ずチェックしておきましょう。
しかし、営業キャッシュフローが黒字だからといって、それだけで安全だという判断はできません。
なぜなら、営業キャッシュフローには設備に関する費用が含まれていないからです。それを考慮したのが②③となります。
「②営業キャッシュフローが減価償却費をまかなえるか」
「③営業キャッシュフローが投資キャッシュフローのマイナスをまかなえるか」
それを判断するために「フリーキャッシュフロー」というものを覚えておきましょう!
▼減価償却についてはコチラの記事で詳しく解説してます。
フリーキャッシュフローとは、本業で稼いだ現金のうち企業が自由に使うことが出来る現金のことです。②③はフリーキャッシュフローを求めると判断できます。フリーキャッシュフローは2種類あり、それぞれ以下の式で求めることができます。
フリーキャッシュフローがプラスかどうかを1つの基準にすると良いでしょう。
営業活動(本業)には、それに関わる設備が必要ですが、営業キャッシュフローには設備の費用が考慮されていません。
そのため、営業キャッシュフローから設備に関わる費用を差し引いた金額を求めるのがフリーキャッシュフロー①です。ここでは、設備に関わる費用がどれくらいであるかを実際に算出するのは難しいことから、代わりに減価償却費を使っています。減価償却は既存の設備の価値の低下分とも言えることから、その分のお金があれば設備を維持できるであろうとして、代用して計算しているのです。
ただし、実際は既存の設備の維持だけでなく、新たな設備を導入したり、新たな事業を始めるためにもお金が使われます。投資キャッシュフローとは、このような新たな設備の導入や、新たな事業拡大、既存の設備の更新費用が含まれています。したがって、フリーキャッシュフロー②は営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引くことで求めています。
つまり、フリーキャッシュフロー①をより厳しく保守的に定義したものが、フリーキャッシュフロー②なのです。
ひとまずは無視していてもいいでしょう。
フリーキャッシュフローがマイナスな会社は危険?
フリーキャッシュフローはプラスであるべきです。なぜなら、フリーキャッシュフローがプラスな会社は経営がより安定していると思われるからです。では、フリーキャッシュフローがマイナスな会社は投資において完全に除外すべきものなのでしょうか?
結論から言えば、そうとも言えません。それは、企業が大きく成長するときにはある程度のお金が必要なため、ある程度と期間においてはマイナスであっても仕方がないという見方もできるからです。
フリーキャッシュフローがマイナスということは、会社が大きく成長するために、会社として攻めた投資をしている証拠ともいえるのです。
大事なのは、フリーキャッシュフローがマイナスになるほど攻めた上で、“結果”がでているかどうかです。つまり、その会社の売上高や利益が以前と比べて伸びているか、ということですね。
まとめ
キャッシュフロー計算書は、以下の3つで成り立っています。
✓会社の本業の営業活動によって増減した「営業活動によるキャッシュフロー」
✓余剰資金を運用した際や、会社の設備投資をした際に増減した「投資活動によるキャッシュフロー」
✓借金の借入、返済、株の発行など、資金調達により増減した「財務活動によるキャッシュフロー」
この3つのキャッシュフローの数字は非常に重要なのでチェックしておきましょう。
では何を基準にしてキャッシュフローを見るべきなのか?
それはその中でも1番大事な「営業キャッシュフロー」です。
①営業キャッシュフローが黒字かどうか
②営業キャッシュフローが減価償却費をまかなえるか
③営業キャッシュフローが投資キャッシュフローのマイナスをまかなえるか
この3つを基準に会社の現金の流れが円滑に回っているかを判断しましょう。
②③を把握するために今回解説した、企業が自由に使える現金として定義した「フリーキャッシュフロー」を用いて考えてみると良いでしょう。
詳しい内訳は決算短信に載っています。
是非チェックしてみてください!
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